MMLの読み方:モバイル版の方言はPC版と何が違うか
✍️ アリス・愛麗沙
MMLは文字で書いた楽譜です。c d e f g a b が音名、後ろの数字が長さ、r が休符、< > が八度移動、t が速度、v が音量——ここまではPCマビノギと同じで、日本のプレイヤーが20年使ってきた知識はほぼそのまま通用します。モバイル版で読み替えが要るのは3点だけ:パートの区切りが改行(PCの MML@…,…; も受け付けます)、最大6パート・各2,400文字(PCはメロディ+ハーモニー2の3本で1,200/800/500)、そして n48 が o4 の C(MIDIの60ではありません)。ここを取り違えると全曲が4度ずれます。なお日本版マビノギモバイルは未サービス(事前登録2026-08-24開始、時期は「2026年内」のみ)なので、以下は台湾・韓国サーバーのデータにもとづく読解の下準備です。
この記事の立ち位置
日本版はまだ動いていません。だからここは「今日やる手順」ではなく、先行サーバーで流通している楽譜を読めるようにしておくための記事です。文字数・パート数・価格はすべて台湾/韓国サーバーの数値で、その都度どちらかを明記します。日本語のアイテム名・システム名でネクソンが公表していないものは当サイトの暫訳です(本記事では「白紙の楽譜」がそれにあたります)。日本版の表記が判明した時点で差し替えます。
そして日本の読者には、他のどの地域の読者にもない前提があります。MMLは日本PCマビノギで20年動いてきた言語で、あなたはすでにそれを読める可能性が高い。 記号の説明から始めるのは失礼なので、まず差分から書きます。
PC版を知っている人が読み替える3点
1. パートの区切りは改行
モバイル版の楽譜は、1行が1パートです。1行目が主旋律、2行目以降が和声。区切り記号はありません、ただの改行です。
t100 l8 e e g e c4 d4 e2
速度100、既定の長さは8分音符、ミ ミ ソ ミ、4分音符でド レ、最後に2分音符のミ。これで1行=1パート。次の声部は次の行に書きます。
一方、ネット上に転がっている20年分のコミュニティ楽譜は MML@第1パート,第2パート,第3パート; という見た目をしています。あれはPC版の書式です。モバイル版のクライアントも当サイトのツールも両方受け付けるので、どちらを拾っても書き換えは要りません。
2. パート数と文字数の上限
| PC(日本・韓国・北米) | モバイル(韓国M・台湾M) | |
|---|---|---|
| 構成 | メロディ+ハーモニー2 | 既定3和音、6和音まで拡張 |
| 1パートあたり | 1,200 / 800 / 500 文字 | 各2,400文字 |
総容量でモバイルはPCの5倍以上です。しかも上限が3本とも同じ2,400なので、「第2ハーモニーだけ500文字で詰む」というPC時代の悩みが構造的に消えています。韓国サーバーでは1パート1,200文字だった時期があり、2,400への引き上げは2025年12月の記録によるものです(確度は中)。
なお当サイトのライブラリ表示は「パート」、台湾公式の作曲ガイドは「和音」と呼びます。指しているものは同じです。
3. n の基準値が MIDI ではない
n48 は絶対音高で、モバイル版では o4 の C を指します。MIDIの中央ドは60なので、MIDI由来の変換器をそのまま繋ぐと曲全体が4度ずれます。当サイトの楽譜メーカーがここを吸収していますが、他所のツールから持ってきた譜が妙な調で鳴るときは、まずここを疑ってください。
n にはもう一つ性質があります——奏いても現在の八度が動かない。これが次の節の話につながります。
記号の確認:ここはPCと同じ
- 音名:
c d e f g a b= ド〜シ。大文字小文字どちらでも。 - 臨時記号:
c+(またはc#)が半音上、c-が半音下。 - 長さ:音名の後ろの数字が「何分音符か」。
c4が4分、c8が8分、c1が全音符、c64まで。 - 付点:
.を足すと1.5倍。c4.は付点4分音符。 - 既定の長さ:
l8以降、数字を省いた音はすべて8分音符扱い。文字数を削る第一手です。 - 休符:
r+長さ。r4で1拍休み。 - タイ:
&で同じ音をつなぐ。c2&c8は2.5拍のド。 - 速度と音量:
t100は毎分100拍で第1パートの先頭に、vは0〜15。どちらも曲の途中でもう一度書けます。
読むときに覚えておくのは一つだけ:長さを書いていない音は、直前の l の値を使う。l が一度も出てこなければ4分音符。
t の挙動だけ念のため書いておきます——t は全パート共通です。どこか1本のパートに t を書けば、その瞬間から全パートの速度が変わります。曲全体のリタルダンドを作る正規の手口であり、同時に「貼ったら途中から変になる」の常連犯でもあります。
八度移動が文字予算の4分の1を食う
上限が抽象的なうちは、何に文字を使っているのかが見えません。当サイトで実機の参考譜を1本分解したところ、全体約1,930トークンのうち358個が < と >——つまり文字予算のおよそ4分の1が、八度を上り下りするためだけに消えていました。旋律が跳躍する曲ほどこの比率は上がります。
だからベテランの譜には妙な書き方が混ざります。
n48の孤音:遠くの音を1個だけ鳴らしたいとき、>>>で上って<<<で戻る代わりにn48と書けば、八度を動かさずに済みます。往復ぶんの文字が丸ごと浮く。b+:シの半音上は上の八度のドです。b+と書けば、八度を実際に変えないまま上のドに手が届く。先ほどの参考譜には5回出てきます。全部、文字数を削るためです。
読む側としては、これらが出てきても身構える必要はありません。音楽は何も変わっておらず、書いた人が文字を節約した痕跡が見えているだけです。
2,400文字は足りるのか:1万曲超で測る
上限の話は、実測すると一瞬で片づきます。下の表は当サイトの楽譜ライブラリ収録分を「最長パートの文字数」で分けたものです。
| 最長パートの文字数 | 楽譜数 | 割合 | 説明 |
|---|---|---|---|
| 1–500 | 3,139 | 29.9% | PC版第3パート上限 |
| 501–800 | 3,505 | 33.4% | PC版第2パート上限 |
| 801–1,200 | 2,883 | 27.5% | PC版第1パート上限 |
| 1,201–2,400 | 843 | 8.0% | モバイル版1パート上限 |
| 2,401+ | 123 | 1.2% | モバイルにも入らない — 削りが必要 |
この表はビルド時に楽譜ライブラリ全 10,493 曲から自動集計されます。各曲の編曲者と出典はライブラリページに記載。楽譜ライブラリ
表の形がそのまま結論です。1,200文字以内に収まる譜が9割——1–500が3,139曲、501–800が3,505曲、801–1,200が2,883曲。この3つの区切りに見覚えがあるはずで、PC版の第3・第2・第1パートの上限そのものです。20年分のコミュニティ楽譜は、PCの天井に合わせて書かれてきました。
モバイルの2,400に本気で踏み込んでいる譜は843曲(8.0%)、2,400すら超えて削りが必要なものは**123曲(1.2%)**しかありません。
読み替えるとこうなります。モバイル版の拡張された容量は、当分のあいだ使われない余白です。 手で旋律を1行書くぶんには上限は視界に入りません。壁に当たるのは曲まるごとを自動変換したときで、それは楽譜メーカー側の仕事です——最短の書き方を選び、超過分は圧縮して詰めます。
逆に言えば、6パート×2,400文字を使い切る楽譜は、これから書かれるしかない。日本版が始まるとき、そこはまだ更地です。
書いた譜をどこに載せるか
MMLには容れ物が要ります。ゲーム内の白紙の楽譜(暫訳)で、韓国サーバーでは雑貨店に1,500ゴールドで並んでいます。開いて文字を貼り、保存し、楽器を装備すれば演奏できます。楽器そのものは楽譜に書き込まれないので、同じ譜でもリュートとフルートでは別の曲に聞こえます——ミキサーでパートごとに楽器を差し替えて試聴できるのはそのためです。手順の全体は楽譜の使い方にまとめています。
当サイトの結論
MMLは「読める・直せる」まで学ぶ価値があり、「1曲まるごと手打ちする」まで学ぶ価値はありません。 記号は30分で全部覚えられて、そのあとは音を1つ変える・八度を1段下げる・速度を差し替えるが自分でできます。しかし1曲を2,400文字の文字列に起こす作業は、機械が10秒で終える種類の仕事です。
日本PCの経験がある読者にとって、実際に必要な学習はもっと短い。改行区切り・6パート×2,400・n48=o4のC。この3行だけが新しく、残りはあなたがすでに知っていることです。
覆されうる主張:モバイル版は改行区切りと MML@…; 包装の両方をそのまま受け付け、1パートの上限は2,400文字である。これは実機楽譜の逆解析と韓国サーバーの更新記録から出した結論です。日本版の実装が別の上限や別の書式で始まったら、この記事と当サイトのツールの物差しを同じ日に直します。
