初心者ガイド · 公開 2026-09-09 韓国S1先取り

バンホールとあの竜——鉱山町の下に埋まっている二十年

✍️ アリス・愛麗沙

韓国S1先取り 以下は韓国サーバーのシーズン1(2025-09-25〜)の内容です。日本版は未配信で、台湾サーバーにも未実装です。

いつかあなたがこの世界に入る日、ダンバートンから南へ歩くとこうなる。乾いて白っぽくなった丘を越える途中、道端にとても大きくてとても古い骨が一つ横たわっている。立ち止まって見ても、何も起こらない。そのまま下っていくと煙突が見え、鉱車の軌道が見え、そして宿屋のない町に着く。

それがバンホールだ。この記事は、その町がなぜそういう形をしているのかの話である。

物々交換の相場でも、鉱脈でも、称号の取り方でもない。それはバンホール最初の1時間とガイレフの丘 最初の1時間のほうが詳しい。ここで扱うのは、PC版がこの町に二十年かけて埋めてきた物語と、モバイル版がそのうち何を残したかだ。どちらも遊んだことがない人にとっては、マビノギという作品の語り方の実物見本にもなる。この世界は説明しない。置いておくだけだ。

クイックアンサー

バンホールはPC版《マビノギ》ではガイレフの丘の南端にある鉱山町で、町の中心がそのままバリ鉱山の入口になっている。G1「女神降臨」の一区間がここを通る——病の娘のために薬を探し歩く銀行員、いつまでも建て終わらない教会の神父、鉱夫になりたい少年、そして丘の上の竜の骨。その竜が Cromm Cruaich だ。アイルランド原典では竜ではなく、生贄を受け取る偶像だった。devCAT はそれを黒竜として書き直し、G1の中盤、竜の遺跡で目覚めさせた。モバイル版が残したもの——町の名、五人のNPCの名前と職、鉱山の脇の鍛冶屋、丘の竜の遺跡、「バンホールは鉱山町である」というこの町の素性そのもの。変えたもの——鉱区が一つから二つになり、宿屋がなくなり、愛情コイン商店が酒場に入り、そしてPC版では道の終わりだったこの町が、センマイ平原への入口になった。まだ隠しているもの——竜そのもの。発掘地があり、考古学チームがいて、名前がない。

PC版でこの町は何だったか

まず地理を合わせておく。PC版のエリンでは、北にティルコネイル、その南にダンバートン、ダンバートンからさらに南へガイレフの丘を越えた先の南端がバンホールだ。ウラ大陸で最も南の町だった(イメン・マハは西で、別の道になる)。バンホールより南に道はない。下へ降りる鉱山があるだけだ。

町の形は二十年変わっていない。一周するのに一分もかからない小さな町で、中心にあるのは広場ではなくバリ鉱山の入口である。PC版のバリダンジョンは町の真ん中に口を開けており、鉱車の軌道が坑口から伸び、町全体が実際には穴一つを囲んで建っている。鍛冶屋は坑口のすぐ横(鉱山町の論理そのものだ)、雑貨店と銀行と酒場が外側を囲み、町の端に建てかけの教会が一つ立っている。この教会がPC版バンホールでいちばん有名な笑い話なのだが、それは後で書く。

モバイル版はこの「穴一つを囲む構造」を解体した。鉱区は二つになり、一方は今も広場の脇だが、もう一方は町の南西の崖へ移された。地理的にはここがモバイルの最大の改変だ。

名前:物々交換の一覧に並ぶ人たちは、二十年前からここにいる

アイデルン、エリン、ギルモア、ジェニファー、イビー。 この五人に新キャラクターは一人もいない。全員がPC版バンホールの元からの住人で、職業まで同じである。

アイデルン(Edern)は鍛冶屋だ。PC版ではウラ大陸で指折りの腕を持ち、口数が少なく、実年齢より老けて見える。エリン(Elen)はその孫娘で店を手伝っており、PC版の設定では商売は祖父より彼女のほうが上手い——プレイヤーに話しかけるのは彼女で、鉄を打つのは彼だ。モバイル版は二人を「アイデルンの鍛冶屋」と「エリンの金属工房」という二つの店舗に分けた。原作を知っている人はこの分け方で一度笑う。あの子がとうとう自分の店を出した。

ギルモア(Gilmore)は雑貨店の主人で、PC版では気難しい老人である。コミュニティでの人物評は一行で済む——一度もいいことを言わない。ジェニファー(Jennifer)は酒場をやっていて、この町で唯一こちらに笑いかけてくれる人だ。モバイル版が愛情コイン商店を彼女の酒場に入れたのは、人選として正しいと思う。

五人の中でいちばん重いのがイビー(Ibbie)だ。PC版の彼女は銀行員 Bryce の娘で、長く病床にあり、父は娘の薬を求めて方々を歩き回っている。G1にはこの父娘をめぐる支線があり、プレイヤーは使いを走り、物を届け、彼女が行きたくても行けない場所の話を聞く。モバイル版の物々交換地点の名は**「イビーの静かな丘」**——心を込めた花束を落ち葉蛾と交換するあの場所だ。この名前自体がPC版の反響である。外に出られない子どもに、自分の丘が一つある。 韓国のデータにはBryceも銀行員として存在し、イビーは「Bryceの娘」として登録されている。

物々交換の一覧には出てこないが、韓国のデータに存在が確認できる名前がもう一つある。神父 Comgan だ。PC版のComganはあの建てかけの教会の主である。鉱山町へ布教に来た若い神父で、教会を建てると誓い、資金は永遠に足りず、プレイヤーは寄付ができる。二十年寄付し続けて、教会は今もあの姿のままだ。PC版プレイヤーの間でいちばん優しい笑い話がこれだった。バンホールの教会はエリンで最も長い未完成工事である。

PC版には少年 Sion もいた。坑口で手伝いをしていて、夢は鉱夫になることで、G1では彼と親しくならないとバリダンジョンに入れなかった。モバイル版に彼がいるかどうかは、本サイトでは確認できていない。推測せず未確認とする。

丘の上のあの骨:Cromm Cruaich

さて、来る途中でもう一度振り返ったあれの話だ。

モバイル版のガイレフの丘は四つの下位区域に分かれており、その一つが竜の遺跡発掘地である。考古学チームが常駐し、物々交換が二本ある。モバイルが与えてくれるのはここまでだ。骨が一つ、学者が数人、地名が一つ。

PC版はもっとずっと多くを与えた。あの骨には名前がある。Cromm Cruaich、黒い竜だ。PC版ではガイレフの丘の中央がそのまま「竜の遺跡」で、完全な巨大な竜骨が地面に横たわっており、ティルコネイルからバンホールへ歩く者は必ずその前を通る。通っても何も起こらない。ただの地物だ。G1の中盤までは。

G1「女神降臨」の本筋は本サイトの他の記事が扱っている——行方不明の三勇士、熊、サキュバス、黒い鎧の男、女神の封印(クリステルとタルラーク)。その線の上でバンホールと丘が担う分はこうだ。エリンで動くためにフォモール族には拠点が要り、バリ鉱山を下り続けた先がフォモールの領域である。そして彼らが望んだのは、竜の遺跡のあの骨をもう一度立ち上がらせることだった。

プレイヤーはG1の中盤で竜の遺跡へ導かれ、何千年横たわっていたか分からない骨が目覚めるのを目の前で見る。この場面の細部はプレイヤーごとに記憶が食い違う(夢だったと言う人、その場だったと言う人、女神が介入したと言う人がいる)。だからここでは全員が一致している部分だけ書く。竜は目覚めた。あなたは勝てない。そもそも勝つために用意された戦いではない。 それは合図だった。フォモールはすでに死んだものを戻せるほど強く、女神はまだ石の中にいる。

その日を境に、竜の遺跡の前を通る気分は変わる。PC版がいちばん得意だったのはこれだ。あるものを背景として百回通り過ぎさせてから、それが動くと告げること。

ゲーム内名称神話・史実の原型原型は何か考証強度
モリアン(ファンWikiにより「モリアン」表記と「モリガン」表記が分かれる。実際のクライアント表記は今回未確認)The Morrígan戦争と運命の女神。PC版には彼女の自己犠牲を綴った公式クエストブックが丸ごと1本ある同名確認(ゲーム内表記は複数の日本語ファンWikiで割れており未確定)
ネヴァン(未確認—日本語資料での呼称は今回の調査で見つからず、便宜的にアイルランド神話の英語表記から仮のカナ表記)Neamhain/Nemain/Nemon/NemanPC版の戦争女神三姉妹の一人(光の女神)。モバイル版での登場は本サイトが確認した範囲では見当たらない同名確認(PC版設定、モバイル版未確認、日本語での呼称も未確認)
マハ(未確認—日本語資料での呼称は今回の調査で見つからず、便宜的にアイルランド神話の英語表記から仮のカナ表記)MachaPC版の戦争女神三姉妹の一人(破壊の女神)。モバイル版での登場は本サイトが確認した範囲では見当たらない同名確認(PC版設定、モバイル版未確認、日本語での呼称も未確認)

本表はシリーズ考証表(全55行)のうち3行で、2026-09-02時点で確認済み。「考証強度」は本表の主要な列であり、装飾ではない——同名確認/実在の地名/推測/未確認の4段階に分けており、どの行も「開発チームもそう設計した」ことを意味しない(開発者本人の言及がある場合を除く)。全体の根拠は各行の元データセットを参照。

原典の Crom Cruach:竜ではなく、人を取る偶像

ここが本稿でいちばん持ち帰る価値のある節だ。devCAT がアイルランド神話を翻案するとき、名前を借りるだけでなく種を変えることがあると示しているからである。

アイルランド原典の Crom Cruach は竜ではない。動くものですらない。それは偶像だ——金で覆われた石柱が一本と、その周りに立つ十二の石像。今日のカヴァン州にあたる Magh Slécht(「跪きの平原」に近い意味)という平原に立っていた。『地名譚』(Metrical Dindshenchas)は、古代のアイルランド人がそれに初子を捧げ、乳と穀物の実りを得たと記す。ある王が一族全員を率いてその前にひれ伏し、額と鼻が砕けるまで拝んだので、その平原はこの名を得たとも言う。そして聖パトリックが来る。『聖パトリック三部伝』は、彼が偶像の前まで歩いて杖を掲げると、偶像が倒れ、十二の石像が地面へ沈んだと書く。アイルランドのキリスト教化の物語で最も有名な場面の一つだ。人身供犠を受けていた柱一本が、宣教師一人の杖で倒れる。

devCAT はこの名前を取り、竜の体を与え、丘の上に横たえ、フォモール族にそれを目覚めさせた。改変は思うほど大きくない。「きわめて古く、人を食い、文明に倒されて地に埋められたもの」という核は一文字も動いていない。原典でそれを倒すのが聖人で、ゲームでそれを起こすのが魔族だというだけである。

この翻案について古くからある読み方はこうだ。G1全体の下地は「フォモール=キリスト教以前の、追放された古い力が戻ってくる」であり(フォモールは原典でも、新しい住民の世代ごとに一度は追い払わなければならない旧住民だ——ケルトの二つの血脈を参照)、Cromm Cruaich はその下地がいちばん具体的な形を取ったものだ、という読み。これは読み方であってインタビューではない。そう明記しておく。

もう一つ、小さくて純粋に面白いだけの推測がある。PC版は鉱山ダンジョンを Barri と呼んだ。南ウェールズには Barry(ウェールズ語 Y Barri)という港町があり、19世紀に石炭の輸出で栄えた。鉱山町の坑道に、石炭港の名前。devCAT がその意図で付けたと確認した人はいない。ただ、バンガーを町の名に使ったゲームがバリを鉱山の名に使ったとすれば、偶然にしては整いすぎている。

本物のバンガーは二つある

町の名の話が出たので続ける。バンホールの原綴は Bangor で、現実にこの名の町は二つある。二つとも一段落ずつ書く価値があるのは、ちょうどマビノギの二つの血脈に一つずつ対応しているからだ。

ウェールズのバンガー(Bangor, Gwynedd)は北ウェールズ、メナイ海峡越しにアングルシー島と向かい合う位置にある。ウェールズ最古級の都市で、6世紀に聖 Deiniol がここに修道院を建てた。ウェールズ語の bangor はもともと修道院の外周を巡らせる編んだ木の柵を指す語で、それが地名になった。今は人口一万数千の静かで雨の多い大学町で、大聖堂は今も建っている。鉱山とは関係がない——ウェールズで鉱山は南部の話だ。

北アイルランドのバンガー(Bangor, County Down)はベルファストの東の海岸にあり、こちらのほうがマビノギとの血縁が近い。558年、聖 Comgall がここにバンガー修道院を創建した。その後数百年、アイルランド全体で指折りの学問の中心であり、聖 Columbanus がヨーロッパ大陸へ布教に出発したのもここからだ。『バンガー交唱聖歌集』は現存する最古級のアイルランド写本の一つである。修道院と宣教師で知られた海辺の町。

ここでPC版バンホールの、教会を建て終わらないあの神父をもう一度見てほしい。彼の名前は Comgan だ。バンガー修道院の創建者は Comgall。一文字違いである。

devCAT の意図的なオマージュなのか。そう述べたインタビューは存在しない。ただ、2004年のソウルでケルトの資料を漁っていた企画者が「Bangor」を引いたなら、最初の頁に出てくるのがその修道院とその聖人だ。そのうえで鉱山町の神父にほとんど同じ名前を付けた。本稿はこれをプレイヤーの読み方の中で最も確度が高い項目に分類する。筋書きの裏づけを一切必要とせず、地名辞典一冊で足りるからだ。

(ついでに書くと、マビノギの地名は最後までこの調子で混ざっている。ティルコネイルはアイルランドのティル・コネイル、ダンバートンはスコットランドのダンバートン、バンホールはウェールズか北アイルランドのバンガー——名前三つでケルト三か国だ。)

モバイル版が残したもの、変えたもの、まだ隠しているもの

残したもの。 町の名、五人のNPCの名前と職、坑口の脇に鍛冶屋という配置の論理、丘の竜の遺跡、そして「バンホールは鉱山町である」という素性そのもの。物々交換八本のうち半分が鍛冶屋と金属工房に掛かっている。この町が存在する理由——鉄を打つこと——にモバイルは手を付けていない。

変えたもの。 鉱区が一つから二つになり、一方は広場の脇、もう一方は南西の崖へ。宿屋がない(PC版バンホールにも正式な宿屋はなかったので、この点はむしろモバイルのほうが忠実だ)。愛情コイン商店は酒場に入った。そして最大の変更。PC版のバンホールは「大陸の南の果て」だったが、モバイルはこの町を通路にした。地域目標を100%にすると町の北の女神像がセンマイ平原へ通じ、その先にイメン・マハがある。韓国サーバーでは2025年9月25日の更新で開いた道だ。センマイ平原が何かは本サイトの地名研究が確認している。公式設定が明記するモイトゥラの古戦場であり、モリアンが石になった場所である。

つまりモバイルのバンホールは終点ではない。女神が倒れた土地への入口だ。 PC版が一度もしなかったことである。

まだ隠しているもの。 竜だ。発掘地があり、考古学チームがいて、地名がある。それだけである。Cromm Cruaich という名がモバイルのテキストのどこかにあるのか、目覚めるのか、メインストーリー第2章「荒野の魔女」がそこに触れるのか——本サイトは確認できておらず、未確認と表記する。 ただし第2章の舞台がこの一帯であることは明らかだ(韓国のデータは新キャラクター 트리아나 をバンホールに、雲の荒野で薬草を研究する 바바 を荒野とバンホールの間に登録している。どちらも日本語表記が存在しないため韓国語表記のまま置く)。魔女が一人、荒野が一つ、竜の骨が一つ、同じ地図の上に並んでいる。あなたが脚本家なら、この三つを互いに無関係のまま置くだろうか。これは推測だ。ただ発掘地の前に立ったことのある人には、推測する資格がある。

サーバーが来たとき、この記事の使い道

日本語のサービスはまだない。だからここに書いたことは今日やることのリストではない。役に立つのは、来たときに何を見るかを知っていることだ。バンホールはガイレフの丘と雲の荒野と同じ一式で来る——韓国サーバーは三つとも2025年6月19日に受け取った——そして一式は小さく、午後一回で歩き切れてしまう。この記事に書いたことを一つも気づかないまま。

だから、初めてダンバートンから南へ行くときは、移動手段を使わずに歩いてみてほしい。骨の前で止まる。それから酒場でジェニファーに話しかけ、町の縁に半分しか建っていない建物がないか一周してみる。あれば、それがComgan神父の教会だ。そして、たぶんまだ完成していない。

最後に町の北の女神像を見る。その向こうの平原は、女神が石になった古戦場の名前を持っている。

これは攻略ではない。地図の上で遊ぶことと、場所の中で遊ぶことの差でしかない。ただ、その差は思っているより大きい。

私たちの結論

バンホールはPC版が二十年かけて書いてきた町だ。鉱山、鍛冶屋の一家、終わらない教会、病の娘、そして丘の上の黒竜 Cromm Cruaich。その竜はアイルランド原典では人身供犠を受けた偶像で、聖パトリックに倒された。devCAT はそれに竜の体を与え、フォモール族に起こさせた。町の名は実在する二つのバンガーから来ており、そのうち北アイルランド側の修道院の創建者の名は、町の神父の名と一文字しか違わない。

モバイル版は町の名、五人の古い顔、竜の遺跡、鉱山町という素性を残し、鉱区を二つに割り、愛情コイン商店を酒場に入れ、PC版では道の終わりだったこの町をセンマイ平原への入口に変えた。竜が目覚めるかどうかは、誰も知らない。

覆される可能性のある記述は二つある。一つ、Cromm Cruaich はモバイル版にいかなる形でも登場が確認されていない——メインストーリーの一行がその名を呼んだ瞬間、この文は書き直しになる。二つ、Comgan と Comgall の呼応はプレイヤーの読み方であって devCAT の宣言ではない——インタビューが一つ出てくれば格上げされる。どちらも反証を歓迎する。